鍼灸:中国三大療法の1つ
東洋医学の代表選手の1つ
中国三大療法の1つである「鍼灸」は中国の長い医療の歴史の中で培われた代表的な東洋医学です。日本に渡ってきたのは飛鳥時代頃と言われており、日本に西洋医学が広まるまでの間、日本の医療を支えてきた手技療法であると言われています。
「経穴」「経絡」「気」の概念
鍼灸の基本的な治療概念は
- 気
- 経絡
- 経穴
の3つの理解が不可欠です。
-「気」-
気とは人間が本来持ちえている「生命エネルギー」そのものを指す言葉です。我々の身体は常にこの「生命エネルギー=気」の正常な循環でもって「健康」を維持されています。この「気の循環」が何かしらの理由で阻害されてしまい、気が十分に循環しなくなってしまった場合、循環不良の起こっている「患部」に症状が現れてきてしまうというのが基本的な人間についての概念です。※陰陽のバランスが崩れた結果、体調不良が起こるとも言う。
-「経絡」-
経絡とは身体の深部に走る「気の流れ道」のことを指しています。人間の身体には主だった経絡が14本走っているとされており、時折、体表近くまで経絡が浮き上がっているポイントがあります。それが全身に散らばる「経絡への入り口」とされる「経穴(ツボ)」の事です。※主要経絡12本(十二正経)とする説もある。
-「経穴」-
経穴とは体表深く走る「経絡」が体表近くまで浮き上がっているポイントの事を意味しており、全身には代表的な経穴が365個存在しています(合計では600以上)。主に鍼灸治療で鍼灸を扱うのはこの「経穴」上になります。それは、皮膚に近い位置を走っているために、直接経絡中に流れる「気」に対して働きかけをしやすいからです。
「鍼」「灸」によって気の流れに働きかける
鍼灸の治療の流れとは「「鍼」「灸」を使い、経穴を経由する事で、経絡上に流れる気の流れに働きかけ、その流れを正常化する」手技療法です。気の流れが正常化するに従って、身体に起きていた不調は徐々に回復をしていきます。
これは気の流れの正常化によって「人体の治癒力」が正常化され、自律的に体調を回復へと導いているのです。
つまり、鍼灸は衰えていた自己免疫力を回復させるのです。
※多くの手技療法において共通概念となるのが「人体の自己免疫力の回復」と「自立的な回復促進」です。つまり、手技療法/代替医療と呼ばれる治療法は、アプローチの方法こそ違えど、最終的には同じ結論に辿り着いた、とも言えるのです。
日本の針は「痛みを抑えた針」が殆ど
「鍼灸は痛そうだ」というイメージは未だに根強く日本に残っています。
しかし、日本の鍼灸治療で使われる「針」は、実は「痛さに敏感」な日本人向けに独自に開発されたものであり、その痛みは殆ど感じません。
針の太さもわずか0.16mm~0.24mm程度のものです。ですので安心して鍼灸治療を受けて下さい。
※ただし、「細い日本針」に対して中国針は「太い」です。ご注意を!
鍼治療の代表的な作用
- ①調節作用 : 患部血液の調節を行います。
- ②誘導作用 : 血液量の誘導調整を行います。
- ③転調作用 : 体質改善による体質強化を図ります
- ④消炎作用 : 白血球を誘導し、炎症を抑えます。
- ⑤反射作用 : 患部遠位に鍼を刺し、反射を利用して患部を治療します。
- ⑥防衛作用 : 免疫物質を増加させます。
鍼の治療には「人間の持つ免疫力」が活用されます。「鍼」という異物を身体に挿すことによって起こる「免疫/防衛」機能をコントロールして患部を治療するのです。
灸には様々な種類がある
- 有痕灸 : 名前の通りお灸の痕が残ってしまいます。
- 無痕灸 : 間に「挟み物」をして間接的な熱伝導による治療を行います。
- 間接灸 : 基本的には無痕灸によって行う治療を指します。
日本の灸には主に3種類のタイプがあります。ただ、殆どの方は「痕が残らない方が良い」と「無痕灸」を利用される事が多いと思います。
灸の主な作用
- ①増血作用 : 血中成分を増加させ、機能亢進を図ります。
- ②止血作用 : 血液凝固時間を短縮させます。
- ③強心作用 : 心臓/血管の収縮力を増強します。
鍼灸の適応症例(1部抜粋)
鍼灸の効果はWHO(世界保健機構)でも報告されており、世界的に高い評価と幅広い治療対象疾患の報告がされています。その数は50を軽く超える程ですので、ここでは一部を抜粋してご紹介します。
- 偏頭痛
- 結膜炎
- 咽喉頭炎
- 首のこり
- 肩こり
- 四十肩/五十肩
- 腱鞘炎
- 腰痛
- 関節炎
- 外反母趾
- 高血圧症/低血圧症
- アレルギー性疾患
- 心臓神経症
- 喘息
- 自律神経失調症
- 神経麻痺
※ここでは全体のごく一部のみを紹介させてもらいました。
国家資格としての法制度が整備された鍼灸
「鍼灸」は日本の手技療法の中では数少ない「法制化が整備された手技療法」です。
「医師が必要と判断した場合(診断書)」といった限定的な条件ではありますが、健康保険等の保険適用を受ける事ができます。
その為、鍼灸ともに1回辺りの費用が他の手技療法に比べて格段に低く抑える事ができ、1回あたりの治療につき、平均すると「500円~700円」で鍼灸治療を受ける事ができるのです。
この優れた経済性と確かな効果を求めて多くの年配の方やスポーツ選手等が鍼灸治療を利用しています。






